調査研究活動

調査研究活動

<精神科受診経路に関する多施設研究(Pathway研究)>

JYPOで行っている主要な研究の一つです。日本全国の精神科施設で調査を行い、日本における精神科医療への足取りを分析し、2004年~2007年の日本精神神経学会総会、同北海道大会、2004年日本うつ病学会、2004年Pacific Rim College of Psychiatrist(香港大会)、2005年世界精神医学会総会(カイロ大会)で報告しています。この研究の概要とパイロットスタディーの結果は、橋本直樹、藤澤大介がそれぞれ2006年、2007年に雑誌「精神医学」に報告しています。

<精神科初期研修に関する意識調査>

2004年から卒後臨床研修制度が大きく改正され、すべての研修医に精神科研修が義務付けられました。そこで2005年、佐藤玲子らが中心となり、精神科初期研修前後の研修医を対象とした意識調査を全国の精神科施設で行い、2006年に開催された病院地域精神医学会、同年総合病院精神医学会、日本精神病院協会で結果の一部を報告しました。2007年日本精神神経学会総会では、精神科卒後臨床研修に関するシンポジウム「新医師精神科臨床研修のアウトカム評価」に参加しました。

<うつ病への処方に関する意識調査>

うつ病に関するエキスパートコンセンサス・ガイドラインと同様の質問を全国の若手精神科医を対象に行い、その結果をエキスパートのものと比較し、第25回躁うつ病の薬理・生化学的研究懇話会(2006年)で報告しました。

<日本の精神科医療における地域比較調査>

毎年CADPでは全国各地から多くの参加者を得ており、各々の参加者が各々の地域性に根ざしたユニークな臨床活動を行っていることが話題となることが多く、第5回CADPでは精神医療の地域格差に関するワークショップを行いました。精神科医数・精神科病床数・福祉サービス・精神科救急システムなど精神医療の地域の特徴を具体的に調査し、この結果を踏まえ、2006年日本精神神経学会総会でシンポジウムを開催しました(上原久美他:精神経誌, 108巻9号に掲載)。

<精神科専門医制度導入に伴う精神科研修に関する意識調査>

2004年から精神科専門医制度が導入され、2006年からは新制度の下で初期研修を終了した精神科医が後期研修を始めました。この過渡期に、従来の研修システムの実態を把握しておくことは不可欠であると考え、従来の研修の評価と、精神科医療の各領域への関心・知識・技能に対する意識調査(インターネット利用による予備調査、神奈川県精神医学会・日本精神神経学会北海道地方会での郵送による調査)を行い、2006年に環太平洋精神医学会、神奈川精神医学会、北海道地方会で報告しました。
2007年、2008年には日本精神神経学会総会で調査結果をふまえたシンポジウムを開催しました。

<ワークスタイルに関する調査>

近年、女性医師が増加している一方、職場における出産、育児等に対するサポートは必ずしも整っていないのが現状です。今回、
全国の女性精神科医師を対象として、仕事と家庭に関する悩み、医療制度の問題点について調査を予定しています。

<精神科に関する偏見の調査>

精神科はさまざまな面から偏見に晒されやすく、当事者、家族、社会、医療従事者など多方面で偏見を減らすことが課題になっています。JYPOでは若手精神科医の立場から偏見に関する意識調査を行い、現状と課題を模索しています。

<精神科サブスペシャリティに関する調査>

精神科には統合失調症やうつ病などといった精神科医であれば誰もが必ず治療経験をもち、研究・臨床・教育に携わる医師の多い分野と、児童思春期や高齢者、司法、依存症などといった重要であるにもかかわらず研修できる専門機関や専門医が少ない分野があります。本研究では、若手の立場からそれらのサブスペシャリティに関する研修状況や意識を調査し、今後の課題を探っています。

<こころの救急マニュアルに関する調査への協力>

希死念慮のある患者が初めて受診した際、症状を素早く察知し自殺を予防することが重要です。「こころの救急マニュアル」はオーストラリアで作成され、日本においてもMental Health First Aidの研究チームがこのマニュアルを翻訳し、各地でロールプレイや講義を通して研修医に教育を試み、その結果を評価しており、JYPOではこういった活動に協力しています。

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