日本精神神経学会サマースクールのご報告

いつもお世話になっております。理事の清水勇雄と申します。2019年8月22・23日に日本精神神経学会サマースクールが開催され、JYPO多職種連携・教育委員会としてワークショップを含め共催してきましたので報告させていただきます。
この精神神経学会主催のイベントは、未来の精神科医療を担ってもらうべく、学生・初期研修医に精神科医療の素晴らしさ・意義深さについて知ってもらう目的で例年8月に行われています。昨年は台風の影響で中止となりましたが、今年は無事徳島で開催され盛会のうちに終了しています。
初日は北海道大学大学院医学研究院精神医学教室教授 久住一郎先生から「精神医学の魅力」、川崎医科大学名誉教授 青木省三先生から「精神科診察の基本的な考え方-どのように理解し、どう働きかけるか-」の特別講演、徳島大学精神医学教室から症例検討ワークショップ、徳島県の精神科医師を代表して住谷さつき先生、吉田精次先生によるキャリアパス講演がありました。
2日目は周辺の病院見学の後、JYPO主催のワークショップを開催させていただきました。
JYPOでは、多職種連携・教育委員会から射場先生、入來先生、大矢先生、北岡先生、黒田先生、高尾先生、俊野先生と清水が、JYPO OBで精神神経学会サマースクール実行委員会の堀之内先生、長先生が参加しました。
症例検討ワークショップはサマースクール初の試みとして徳島大学の亀岡先生主導で行われ、JYPOはファシリテーターとして協力させていただきました。問題解決型のワークショップで統合失調症の症例に対し、学生~初期研修医まで闊達な議論が起こり、大いに盛り上がりを見せていました。亀岡先生からは「JYPOの先生方のおかげで議論が盛り上がりました。本当にありがとうございました。やっぱり各テーブルに1人ファシリテーターがいた方が良かったですね。」とのコメントを頂きました。
初日夜の懇親会では、阿波踊りのパフォーマンスで参加者と一緒に踊り、JYPO主導の2次会にも20-30人程度と多くの方に参加していただき、日をまたいでの熱い意見交換が行いました。
2日目の病院見学では引率者として参加し、その後ワークショップを行いました。
今年は「精神科医のSpeciality~精神科医だからできること、精神科医にしかできないこと~」と題し、異常値や異常所見に現れないような症状を取り上げ、背景の精神的な問題にアプローチして治すことに対する精神科医としてのspecialityであるとの導入から、Mental Health First Aid 講習で実施される傾聴体験と幻聴体験の演習、難しい質問に対する「ABCアプローチ」による回答コンペによって構成されたワークショップを行ってきました。
参加者からは幻聴体験を通して「話に集中できないことがよくわかった」「しんどさがよくわかった」、全体を通して「精神科医になるモチベーションがもらえました!」「すごく楽しかったです!」とのコメントがありました。
途中時事ネタとしてラグビーワールドカップを取り上げ、ラグビーと精神医療の共通点として「つなぐ」ことが重要という話題を話したのですが、ワークショップ終了後に徳島大学の大森教授から、『さきほどつなぐというキーワードがありましたが、JYPOの皆さんに是非これからの精神医療を「つないで」いただきたいと思います』とのメッセージもいただくことができました。
今年のサマースクール参加者は46名と、地方開催としては異例の数字だったそうですが、これは日本精神神経学会、毎年御協力頂いている大学医局の皆様が例年パスをつないできた結果であり、つなぐことの重要性を強く実感しました。
そうしたイベントにJYPOとして例年尽力させていただいていることは非常に意義深いことと思いますし、多くの方のご協力があってのことであると感じました。本当にありがとうございました。そして熱意ある若手と触れ合うことで、逆にモチベーションを高めてもらえた気がしています。
来夏も精神神経学会のサマースクールは開催予定とのことで、我々としても未来の精神医療の一助となれるような活動を継続することができればと思っております。
今後もどうぞよろしくお願い申し上げます。

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