理事長退任のご挨拶

活動ブログ
いつもJYPOの活動にご理解とご支援を賜り、誠にありがとうございます。
2024年度JYPO理事長を務めさせていただきました、大阪精神医療センターの入來晃久です。
2025年6月21日(土)に、認定NPO 法人日本若手精神科医の会(JYPO) 2025年度(令和7年度)通常総会が開催され、私 入來晃久は理事長を退任いたしましたのでご報告申し上げます。
私がJYPOの活動に初めて参加したのは、精神科医3年目のとき、第17回CADP(幕張)でした。研修医時代から先輩の中前貴先生や大矢希先生に、「精神科医になったらCADPに行くように」と言われていたものの、英語に自信が持てず、なかなか一歩が踏み出せずにいました。それでも、思い切って参加してみたあの日から、私のJYPO人生が始まりました。
初参加で宴会チームに入り、Skypeで全国の先生方と夜な夜な話し合いながら、大会長だった大矢先生へのサプライズ企画を準備したのは、忘れられない思い出です。実は当日、私は少し失敗してしまい、落ち込んで気まずい思いをしました。しかしその時、責めることなく受け止め、アドバイスをくれた先輩方がいました。そして、「また一緒にやろう」と声をかけてくださった——その包容力とあたたかさに、私は何度も救われてきました。
その背中を見ながら、私は「人を大切にすること」「共に作ること」の意味を学びました。
CADP創設に尽力されたノーマン・サルトリウス先生が、2022年、当時87歳のときに藤澤大介先生や大野裕先生へのビデオメッセージの中で、こう仰いました。
> 「これまでのことを振り返り、そしてこれから先の未来の計画をまた話そう。」
その言葉には、年齢や状況に関係なく、常に未来を見て動き続ける姿勢が込められていました。私はその精神に深く感銘を受け、自分もまた、初心を忘れず、挑戦し続けようと決めました。
理事、副理事長、そして理事長として活動する中で、コロナ禍という大きな試練に直面しました。しかし、JYPOは止まりませんでした。JOIN Meetingの開催や地域交流、オンラインでのワークショップなど、仲間と共に「つながり」と「創造性」を大切にしながら、歩みを進めてきました。
実を言えば、副理事長だった当時、このまま退こうかと考えていた時期もありました。けれども、多くの会員の皆様が、JYPOの伝統や積み重ねてきたもの、先輩方の想いに触れられずにいることを思い、これは自分の役割だと覚悟を決め、理事長を引き受けました。
2023年3月、第20回CADPでは大会長を務め、コロナ後初となる現地開催を実現し、サルトリウス先生と海外からの参加者を迎えることができました。これは、私にとって本当に感動的な出来事でした。
昨年の理事長挨拶では、「JYPOの実行力の魅力」についてお話ししました。ただ考えるだけでなく、自分一人で抱え込むのでもなく、仲間と共に考え、組み立て、行動し、困難を突破していく力——それがJYPOの真骨頂です。そして、それは時代や状況がどう変わっても、私たちが守り、育ててきたJYPOの本質です。
この20年の歩みは、歴代の理事や事務局、すべてのJYPOメンバーのたゆまぬ努力の結晶です。私がそのバトンを一時預かり、次の世代に少しでもつなぐことができたなら、本当に光栄に思います。
最後に、これからのJYPOを担う皆さんへ、心からお伝えしたいことがあります。
それは、「繋がりを大切にしてください」ということです。
古いものや非効率なものを切り捨て、関係を断つことは簡単ですし、時に合理的にも見えます。でも、これまで築かれてきた関係や歴史、助け合った記憶、一緒に取り組んできた日々、その一つひとつには、消えない価値があります。
それを無駄にするのではなく、感謝と尊敬の気持ちを忘れずに、未来に活かしていってください。
そして私がJYPOで学び、今も信じている大切なことがあります。
人を大切にすること。
ユーモアや遊び心を忘れないこと。
個の力に頼らず、みんなで協働し、組織としてOrganizeしていくこと。
この姿勢こそが、JYPOの根っこであり、これからも未来を支えていく力になると、私は信じています。
理事長としての務めはここで終わりますが、これからも一人のJYPOメンバーとして、皆さんを心から応援しています。
本当にありがとうございました。
2025年7月1日
入來晃久
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